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最高裁判所第二小法廷 昭和40年(オ)699号 判決 1968年2月09日

上告人

中村周作

右訴訟代理人

後藤博

被上告人

二宮隆逸

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人後藤博の上告理由一について。

飛田益男所有の甲地および乙地に対する競売期日公告に賃貸借なしと記載されていたことは当事者間に争いないとして原審が適法に確定した事実である。しかしながら、競買人の競買申出は、訴訟行為に準ずべきものであり(大判昭和一二年一二月二二日、新聞四二二五号一一頁)、これに基づいてする裁判所の競落許可決定は裁判であるから、その違法を主張する競落許可決定を受けた最高価競買人は、右競売手続および競落許可決定につき不服があるときには、民訴法六七一条、六七二条等によつて異議を申し立て、および同法六八〇条により即時抗告を申し立てるべきものであり、民法五六八条、五六六条により救済を求められる特別の場合を除き、競売手続および競落許可決定の違法を右手続によらずに別訴で主張し、競売手続および競落許可決定の違法無効を主張することは許されないものというべきである。そうだとすれば、競売について民法九五条の適用があることを前提とし、上告人のした本件競買の申出は無効であるとの所論の理由のないことは明らかである。論旨は採用できない。

同二について。

津末弥栄の飛田益男に対する本件貸金につき、債務者飛田益男のため保証人となつた伊東広次は、津末弥栄の請求により、金七〇万円程を支払い、残額の免除を受け、伊東広次は津末弥栄の抵当債権を右弁済の限度で法律上当然に代位して取得し、同人はこれを五十川寿美子に譲渡し、同人は更に被上告人に譲渡し、これにより本件競売手続は被上告人のためすすめられたものである旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できる。原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外 色川幸太郎)

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